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2026-08-26
KIKUTAプログラムの効果に関する研究論文が『LD研究』に採択
一般社団法人読み書き配慮が実施する,読み書きに困難のある児童生徒を対象とした「KIKUTAプログラム」の効果について検討した研究論文が,一般社団法人日本LD学会の学術誌『LD研究』に採択されました。
論文の採択日は2026年8月4日です。論文は『LD研究』36巻2号(2027年5月25日刊行予定)に掲載される予定です。『LD研究』は日本LD学会が発行する学術誌です。
<研究の概要>
今回の研究では,2022年1月のKIKUTAプログラム開始から2025年4月までの参加者のうち,心理アセスメント,保護者インタビュー,事後アンケートのデータが揃っていた91名を対象に,プログラム参加後の変化を検討しました。
その結果,心理面では,「社会的自尊感情」や,「肯定的な未来志向」を含む精神的回復力に有意な向上が認められました。また,保護者インタビューからは,同じような困難をもつ仲間や,読み書き困難当事者チューターとの関わりによって,子どもたちの安心感が増し,自分自身の特性への理解が進む様子が示されました。さらに,合理的配慮を自ら申請することへの心理的な抵抗感が低下することも示唆されました。事後アンケートでは,参加者の約3分の2が,プログラム終了後もICTを継続して使用し,学校や入学試験において合理的配慮の申請を行っていたことが確認されました。
これらの結果から,KIKUTAプログラムは,読み書きをICTによって補助・代替するための技術を身につけるだけではなく,子どもたちが自分の特性を理解し,自分に必要な支援を自ら求めていく力を育むことで,心理面や行動面にもプラスの影響を与える可能性が示されました。
<論文情報>
論文タイトル:読み書きに困難のある児童生徒を対象としたICT活用と合理的配慮の自己申請を統合した実践プログラムの探索的検討
論文著者:河野俊寛1,2・菊田史子2・武井夏野2・野中聡子2
(1東京農工大学・2一般社団法人読み書き配慮)
掲載予定誌:LD研究36巻2号(2027年5月25日刊行)
<用語解説>
・社会的自尊感情:今回の研究で用いた自尊感情のアセスメント「Social and Basic Self Esteem Test(SOBA-SET)」(近藤,2013)では,自尊感情を「社会的自尊感情」と「基本的自尊感情」に分けて捉えています。社会的自尊感情とは,他者との比較の中で,自分は価値がある,自分は人よりも優れていると評価することで生じる感情を指します。
・肯定的な未来志向:研究では,精神的回復力(レジリエンス)のアセスメントの一つの「精神的回復力尺度(Adolescent Resilience Scale; ARS)」(小塩ら,2002)を使用しました。ARSでは,レジリエンスを「新奇性追求」「感情調整」「肯定的な未来志向」の3つの側面と総合点から評価します。このうち「肯定的な未来志向」は,明るく前向きな未来を思い描き,その将来に向けて努力しようとする特性を指します。